Slappy Birthday

生誕45周年っつー事で、ベースを買った。

ミュージックマン・スティングレイですよ。以前から欲しかった一本なのです。
まあ云っちゃうと、トニー・レヴィンとか昔の細野さんとか、好きなベーシストがみんなコレを使ってたからっつーミーハー的な理由で欲しかったんですが。
でもいくら誕生日とは云え、金銭的にはキビシイから中古でいいかと思い、オークションで安く手に入らないかなあと出品中のスティングレイの動向を一週間ほど監視していたら、稀少なヴィンテージだろうがキレイな新古品だろうが、10万円以上出して落札しようとする人は滅多に居ないってのが分かったんだが、そんなトコロへ1円スタートの新品が出てきたんだから驚いた。
コレ、いくら新品と云ったって、オークションでスティングレイを物色してるのはお金の無い人に決まってるんだから、やっぱり10万のラインで勝てるんちゃうん?と思ってたらまんまと落札できてしまったんだから、ラッキーどころの騒ぎではない。
だって、スティングレイの新品と云ったら、楽器屋でまともに買うと26万ぐらいするからねー。
いやー、久々に買い物で夢見心地を味わったっすわー。
で、実際に入手してみたら、まあ弾きやすいの弾きやすくねえのって。
前回の続きみたいな物云いだけど、ふっと力を抜いた時に、いとも簡単にキモチイイ音がカッキーン出る。ベースなのにカッキーンですよ。ホント、ホームランバッターがまともに芯喰ったような会心の音が出んの。
だからもぉ、大好きになっちゃった。平日は早く家に帰りたいし、夜は睡眠時間を削ってまでいじっちゃうっつーぐらい、今や完全におっパマリです。
肝心の腕前はと云うと、全盛期が10、一週間前が1とすると、5ぐらいまでは復調したかなあ。
ちなみにその全盛期ってのは、年齢が今の半分の頃なんですがね。
K社に入ったのが22歳で、そこから毎日終電帰りの生活になってしまい、家でベース弾く時間もロクに無くなったっつーか、むしろ作曲漬けの生活が性に合ってたモンだから、プレイヤーとしては一旦そこで終わってるという。

そもそも、昔はプロのベーシストになりたかったんです。
と云いつつキーボード系の専門学校に進学して、しかもキーボードなんかほとんど弾けず、そのくせベースだけはサクサク弾くモンだから、クラスの友達からは「シオちゃん何でこの学校に来たの?」って不思議がられてたという。
マジな話をすると、専門学校は副業を身に付けるために行ってたんです。
個人的に重きを置いていたベースと作曲は人から教わらなくてもモノになるような気がしてたから(って当時はまともな作曲なんてやった事なかったけど)、それ以外にシンセプログラム的なモノを勉強しておこうと思ったのですよ。思ったのですが、あの学校、キタネエの。
オレが入ったのは文字通り、シンセサイザープログラムコースで、シンセの音色作りをせっせと学ぶのかと思いきや、実はキーボーディスト養成クラスでやがって、授業でやるのは演奏面ばかりで、シンセの音色関連なんかチャンチャラ教えねんでやんの。唯一やったのがDX7の音色作りで、と云っても2年通ってトータルたったの2時間しかやってない。しかもその授業のおかげでFM音源に対する苦手意識しか身に付かなかったんだからホントに無駄だった。
でもオレ以外は全員プレイヤー指向で、演奏面をメインに学習しに来てるから、何だかオレだけが間違って入ってきたピンボケ入学生みたいな状態だったから文句の云いようもなかったんですが。

あ、そうそう、オレ、この専門学校を卒業する直前にコナミさんを受けたんです。
この頃はまだコナミ工業って名前だったんだけど、オレはドルアーガで完全燃焼してからゲーセン通いは卒業しちゃったおかげで、あーハイパーオリンピックのトコかー以外の認識が無く、まさかあんな夢のようなサウンド大国だったなんて当時は全く知りませんでして。
フロムエーにサウンドクリエイター募集が出ていて、正社員またはバイト募集って書いてあったからバイトで応募して、その頃たまたま学校の卒業制作で作った曲がたったの2曲ばかしあったので送ったら、後日面接に来て下さいって事になった。
で、そこで全部バカ正直に答えたら、見事に落とされましてん。
「何故バイトでの応募なんですか?」「あのー、将来はバンドでプロになりたいと思ってまして、バイトの方が立場的に辞めやすい、じゃなくてそのー、身軽に動けるかなーと思いまして」
「作曲歴はどのくらいですか?」「実は、最近やっとシンセを買って始めたトコなので、そのデモテープの曲が全部なんです」「わかりました。えー、作曲れ・き・ナ・シ、と」
激バカですよ、激バカ。さすがに面接が終わった瞬間にこの話も終わったと悟ったもんね。
ただ、後日判明したのは、コナミさんの面接ってのは最終審査を意味していて、実はその前の一次審査をパスするのが相当な狭き門らしい。
そー云えば、オレを待合室に案内した担当者が、パッと見た感じ60人分ぐらいの名前がビッシリ書かれたリストを持ってたんだけど、オレを含めた5人だけが無印で、その他全員の名前が棒線で消されてたから、ヒャーもう面接済みのライバルが55人近くも居んのかようーと大いに不安になったモンだが、思えばその55人は一次で落とされた人達だったのかも知れん。
その後K社に入って、この落選話をすると必ず返って来た言葉が「え!シオちゃんコナミの一次通ったの?!」だったという。実はゲーム業界には、石を投げればコナミの一次に落ちた人に当たるっていうぐらい多い。
だから、身内では一次を通ったのはオレしか居なかったですね。作曲歴ナシのペーペーの作品の何が良かったのかは全くもって謎なんですが。