東京ゲーム音楽ショー初参戦、の巻

まさか、出る事になるとは思ってなかったんですよ。

1月のある日、ヨナオさんから連絡が来たのが事の始まりで、何でも、このイベントの主催さんがオレと連絡を取りたがってると云う。
で、直々に聞いてみたら、最初は「都合が良ければ来場だけでも出来ませんか?」って話だった。
その前週まで土曜日は全滅だったんだけど、運良くその週からは空いてたから、とりあえず行く約束はしたんだけど、何で突然、オレなんかに声が掛かったんだろうと気になった。
そしたら、実は毎年、シオダは来ないのか?という問い合わせがあったんだそうで、それが今年はとうとう50人を超えるまでになったため、主催さんも重い腰を上げたんだという。
いやー、有りがてい話だねい。だったらオレも、その人たちのために何か提供したくなるってなモンですよ。
主催さんも「来場した音楽家の方は大抵、こんなんだったら出展すれば良かったって後悔してます」って云うから、尚更オレも出展で決まりだ。

決まりだ、はいいが、この手のイベントって今まで縁がなく、物販する持ちネタがないと来てる。
じゃあ一体何を出せば?と思った時に、まず浮かんだのが、RIKIさんと一緒に作った作品の販売と展示だった。
この際、RIKIさんも巻き込んでしまおうフフフ、と声を掛けてみたら、やっぱりノッてきた。彼は即売イベントのベテランだから、大いに心強い。
ただ、主催さんのイベントコンセプトとしては、音楽家さんが主役でなくてはならない、そして主役は必ず自身のオリジナル音源をCDなどのカタチで用意して欲しい、という話だったから、じゃあそこはどうクリアしようかと思ってRIKIさんとも相談した結果、シオダさんの昔のボツ曲だったらみんな絶対喜ぶよ!なんて後押しもあって、じゃあボツ曲集で、でもバラバラな作風ってのも何だから、ボツゲームの曲を一本丸ごと収録したものを用意しようと決めた。
ところがコレ、初期のモノだからテープにしか録ってなくて、すこぶる音が悪い。
このクオリティでお金を取っちゃあ悪い気がして、アレンジはほとんどそのままでNSDLで全曲新たに作り直して、ファミコン実機からレコーディングした。
あと、ジャケットのデザインも自分でやった。つってもごくシンプルな内容なんですが。
最初、ファミコン風のフォントをネットで探してたんだけど、商用利用にうるさかったり、インストールしてみたら上手く認識しなかったり、実際使ってみたら思ったよりハマらなかったりと何から何まで上手くいかない。
結果、この際自分で作っちまったほうが早え!ってフォントを自作ですよ。
そしたら思いのほか面白くてハマってしまい、今回そこまで使用しないのに全アルファベットと全数字まで作っちゃった。さらにその勢いついでに女の子(ボツゲーの主人公が一応女性なので)のドット絵まで制作。
シンプルすぎるジャケだけど、光沢紙を使ったらシャネル感が出てまあまあ良かった。
CD制作は初めての試みだったが、音源の焼き込みを前々日の深夜に終わらせ、印刷全般は前日から当日に日付が変わる頃に無事に終わった。
ちなみにこのアルバムの内容は、四半世紀ほど前に作ったボツゲームの曲で、マジな話、ゲームの内容は何も知らないんですよ。タイトルもうろ覚えだし、企画書も絵も見せてもらってなくて、ややコミカルなRPGってコンセプトで作った覚えがある。
といった感じの、全17曲入りのアルバムを用意した訳です。

当日、会場入りしたのが10時30分頃。そこから設営してたら、11時すぎにRIKIさんが来場。
当初は他にも2人ほど手伝いに来て、計4人でブースに立つ予定だったが、よりによって当日に2名が急遽インフルっちゃったっつーツキの無さですよ。
だから仕方なく、アウトフル2名で臨む事にして、ちょうど開場時間の12時に設営が完了。
それからと云うもの、まあ来ましたねー。ホント、ありがとうゴザイマス。
15時頃だったかなあ、RIKIさんが「周り見て下さいよ、まだ行列出来てんのココだけですよー」なんて云ってたのはうっすら覚えてるんだけど、せっかくの機会だし全員に一筆入れるつもりでいたから、ただただ書いて渡して、書いて渡してを繰り返してたもんで(あと極力お話もしたつもり)、オレはそんな周りを気にしてる余裕も無くて、あまり実感がない。
お陰様で、CDはよく売れました。お世話になった方々に配ろうと思って余分に作ってきた分もほとんど売ってしまったぐらいで、達成率で云ったら140パーぐらいでしょうか。
ただ、完売はしませんでしたね。イベント終了の時点で店頭に1枚置いてありましたから。まだまだ力不足ですよ。

代わりに、この日用意したファミコンソフト「8BIT MUSIC POWER」が完売しまして。
コレ、もはや入手困難で、Amazonとかでプレミアが付いてるのを買うしか手段が無いんだけど、この日のためにコロンバスさんの倉庫から在庫をかき集め、どうにか20本ほど用意できた。
ムック本も売ったんだけど、お客さんはやっぱり、どっちが得なのかを気にしてくるから、その都度「確かに本の方は値段が半分なのにロムイメージも付いてるし、音楽も聴けるし、インタビューや裏話などの記事も豊富で断然お得です。でも、コッチ(カセット)はロマンですから」って説明するんだけど、また皆さんロマンをスゲー理解するんだコレが。
いよいよ正真正銘の最後の1本が嫁ぐ際、RIKIさんの「ファミカセってのは、裏に自分の名前を書くのが醍醐味なんだ!」っていう発案で、買ったご本人とRIKIさんとオレの3人で記名をするという、なかなか粋な完売記念の儀式ができました。

CDも粗方売れて、8BMPも完売し、客足も落ちてきた15時30分頃にようやくトイレのためにブースから離れたが、これが唯一の離席となった。
その頃かな、阿保君が来てくれた。最初はオレに声を掛けるタイミングを計ってブースの人垣の向こうで挙動不審にウロウロしてたけど、そのうち手前まで来たから談笑してたら、蒲田の近くに住んでる姪ちゃんが来た。
これと云ったゲーム好きでもなく、ただオジサンが近所で何かやってるのを見に来ただけなんだが、一応アニオタの気があるもんで「コチラ、シュタインズゲートの音楽やってる阿保君」って紹介したらまあ喜ぶわ喜ぶわ。しかし妙にいいタイミングで来やがって。
実は姪ちゃん、絵心があるんで、RIKIさんの事も「この人、この本とかファミコンの絵を全部描いてる人」って紹介したらまた喜んで、オジサンの写真が一番多く載っててウケるという理由で8BMPの本を買い、親族に見せたらウケるという理由でサインを書かされ(RIKIさんは簡易似顔絵まで描いた)、そんなオジサンはジジババから姪ちゃんへと託された一万円をブースの中から手渡しですよ。
ようやく安定して椅子に座れるようになったのが、閉会まで1時間を切った17時過ぎで、その頃にメガネ帽子マスクで完全に顔を隠してる女の子が来たが、実はそれ以前にも、阿保君と同じようにブースの向こうでウロウロしてるのを何度か見覚えがあったんだが、マスクを取ってみたら声優のあさみほとりさんで、声を掛けるタイミングがなかなか無かったとの事。姪ちゃんも帰宅後、ジジババにそう報告したらしい。後で知ったんだが、慶野さんも間近まで来たものの声を掛けられなかったと云う。
うわー、もったいない事をしたなー。慶野さんに気付いてたらムリヤリにでも呼んだのになー。そしたら人垣の皆さんもさぞかし喜んだろうなー。
という、この日はせっかく来てくれた方とも会えずじまいで、しかも誰のブースにも行けず、もちろん誰のCDも買えず、バタバタしてたせいでライブやトークの音響が一切耳に入らず、参加した音楽家一同で集合写真を撮ってるのも全く気付かず。悲しいなああ。充実してたけど何だか悲しい。

そんな感じで、この日はひたすら駆け抜けましたね。
来年も出展する予定になってるので、次回は全て新曲のソロアルでも作りたく思いマス。