Shiranui

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ゲームボーイで力士が主人公の和風ゲー用に作ったんだけど、ボツられましてん。
たった3音で和風で独自の作風、っていう要素を兼ねるのって、結構ムズイんですよ。
そんな中、この曲がまず最初に出来た事で独自路線が軌道に乗ったという会心の作なんだけど、オレの場合、その手の会心作ってのはいつも絶賛されるか袋叩きに遭うかの二択で、この曲はボツだけに後者。
そもそもこのゲーム、誰も方向性が見えてないまま制作してましたからねい。
実は、ゲーム2本分の曲を作らされたんですよ。一度全曲仕上がったところで全ボツにされて、コンセプトも新たにイチから作り直した「相撲2(と勝手に呼んでいる)」の音楽を会議の席で披露したところ、クライアントの社長がただ一人「これだ!」と叫んだだけで終わったそうで、結局「1」の曲の方がまだマシじゃね?って感じでしぶしぶ採用されたという経緯があるんだけど、この曲だけは最後まで嫌われたままだったという。

K社にデバッグのバイトで来てたフジモリ君ってオトコがいて、かなーり音楽的好奇心の強いヤツだったのは知ってたが「この曲がボツになるなんて有り得ない!もう聴けないならテープに録って下さい」って駆け込んで来たから、コイツ一味違うなあと感心した。
このフジモリ君、漫才師になりたくてテレビのオーディション番組にもチョイチョイ出てたんだけど、オレ一応、K社ではボケの切れ味がウリだった部分があるんで、ある日「じゃあ僕と組んでくれますか?」なんてちょっと遠回しにコクられたけど、やっぱりお笑い作るよりも音楽作る方が断然いいモノができる自信があったから、即答で断っちゃった。