決勝戦はドリームマッチ

ワールドカップもいよいよ決勝ですねい。

しかし、まさかオランダ v スペインが来るとはなー。
これは決勝戦としては、まず有り得ない組み合わせだと思ってたもん。
オランダってのは超攻撃力のチームで、単純に得点力だけを見たら、少なくとも4年前のWCの頃から世界一だったと云ってもいいぐらいだ。
ところがオランダ国民ってのは、引いて守って勝つぐらいなら華麗に攻めて負けた方がマシだという考え方が強い。
そーゆー考え方で育った選手たちなので、ドイツやブラジルのようなココ一番での勝負強さというのは伝統的に持っていないチームなんだが、それでも決勝まで来たんだから今回はひと味違う。

スペインは国内感情がちょっと特殊で、なかなか面倒なチームだ。
そもそもスペインってのは、いろんな国があっていろんな民族がいたのを強引に一国に統合したトコであり、特にビルバオあたりのバスク地方やバルセロナあたりのカタルーニャ地方などは、未だにスペイン代表を自国のチームだと思っていない人が多いんだそうで。
そーゆー考え方で育った選手なので、代表を目標に頑張ってきたという人もそうそう居ない。
国歌斉唱を見てもらえればちょっと変なのが分かるかも知れない。誰も歌わないからね。
つーか、選手はみんな歌詞を知らないんだそうだ。まぁそんな程度の団結心ですよ。
ところが2年前、EURO2008で初優勝して、それ以来スペイン国内では代表への関心が増しているらしく、今大会は過去に無いぐらい優勝への期待が高まっているんだという話だ。
それでもバスクやカタルーニャの人達は「ま、優勝してもマドリーの連中を仲間だなんて思ってねえから、肩を組んで一緒に喜び合う事は絶対に無いけどなー」って云うんだそうな。

これはサッカーに限った事じゃないけど、ひたすら相手の攻撃を待ちながら戦うのは、最もリスクの低い戦法だ。良く云えば効率的という事になる。
ただ、そんな試合ってツマラナイんですよ。
守備的に戦えばさほど苦労しなくても勝てるのに対して、やってる自分も見てる観客も楽しくなるような華麗なフッボーで勝つのはとてもリスクが高い。
守備的な相手に何度も負けて、ひたすら辛酸を舐めつくすのはなかなかツライ事だ。
それでも信念を曲げずに高い理想のもとで磨き上げれば、いつかは低い理想のままラクして勝ち続けていた連中なんかには絶対に到達できない領域に足を踏み入れる事ができる。
それが、今のオランダとスペインですよ。
今まで何度も優勝候補と云われながらも一度も優勝した事が無かった、この2つの魅力的すぎるチームが決勝まで勝ち進んだんだから、ホントにドリームなマッチだと思うっす。

あと、せっかくなんで、つまらないサッカーを展開した日本の事にも触れておきます。
結果だけ見れば、良くやったと思う。あんなに直前まで迷走に迷走を重ねた割には良くやった。
でも、今までの3年と11ヶ月をパスと連動のチーム作りに費やしてきたのに、本番直前の1ヶ月で守備のチームに変えちゃうっていうのは、致命的な計画性の無さですよ。
今回はホント、たまたま上手く行ったから良かっただけな話で。
迷走の果てに守備的戦術に急遽変更したおかげで、せっかく呼んでおいて使えなくなった選手も出てしまった。
前回書いたが、仮に迷走してなかったとしても、ウッチーを使える場面は最初から無かったし。
最初からウッチーの代わりに徳永を呼んでいたら、海外からお呼びがかかってもおかしくないぐらい、徳ちゃんにとってはグループEはオイシイ組み合わせだったのに。
あと、やっぱり大久保起用は解せないなあ。動きの質が良く、何かと絶賛されがちだった大久保だが、確かに動きの質だけは良かったと思う。ボールを持ってない時の動き「だけ」は。
ただ、あーゆー動きにさらに得点力を備えた選手など、Jリーグには何人もいる。
大久保君、デンマーク戦でキーパー真っ正面にゆっるーいライナーのシュートを打ったが、アレはおそらくここ2年の代表戦で彼が打った唯一の、ゴール枠内に飛んだシュートだったと記憶している。
そして何より勿体なかったのが、現在Jリーグでは珍しく、得点ランクの上位に日本人がひしめいているんだが、その中から選ばれたのが岡崎だけだったという事。
「深刻な得点力不足」なんて云ってるけど、得点力を生かせるチームが作れなかったんですね、結局のところ。そんな引き出しの少ないチームでWCを迎えてしまったんだから悔しいところだ。
オシムは良かったなあ。引き出しのバケモンだったモンなー。あの人にもっと日本を強くしてもらいたかった。病気とは云え、ホント惜しい事をした。惜しみだしたらキリがない。オシムだけに。

な訳で皆さんも、ただ結果を残したからって喜ぶのは、今回を最後にした方がいいですよ。
日本代表の力はまだまだこんなモンじゃないんだから。