星降る夜のファルネーゼ - Preview
Copyright ©2017 miti / Rabona All RIghts Reserved.

「星降る夜のファルネーゼ」のクロスフェードプレビューをどーぞ。
(一応、販促目的で置いてるけど、何ぶん18禁ゲーなので入手できない方もいると思いますが。)
この作品では、声優さん周りの作業全般と、作詞と歌だけはお願いしたけど、それ以外の全サウンドを担当しました。
いろんなジャンルの音楽を網羅したおかげで、その都度必要な楽器のプラグインを買い足しつつ、インストールしても音が出なくて困りつつ、設定方法から使用方法まで調べつつ作った。
2曲ほどクラシックの、4声のコーラスパートがあるけど、このコーラス音源なんてUPする直前に買ってるもんね。他の全曲が仕上がった後でもこの2曲だけは上手くハマらなかったから、観念して買ったっつー。

[ Music ] SoundCloud
2018-02-05 09:53:32



▼ 蜜蜂と遠雷

新年一発目って事で、本年もヨロシクです。

暮れも押し迫った29日に、トークショー&サイン会という大それたイベントを開いて頂いた。
8BIT MUSIC POWER ENCOREで烈火の続編というコンセプトの曲を作った事もあって、新曲や烈火サウンドにまつわる話をしちゃおうという内容である。
なので、烈火のサウンドメイキングについて、なかなかの詳細を人前で話すことができたという、極めて珍しいトークショーになった。
烈火の音楽って実は、不思議なバランスの上に成り立ってるんですよ。
あの時代にファミコンで説得力のあるダンスミュージックをやるというのは、コナミみたいなカスタムチップでも搭載しない限り実現不可能と思われていたから、その不可能をやるに当たって一般的ではない手法を取り入れる必要があったんだけど、当然それに因るアンバランスが発生し、さらにその上にアンバランスを積み重ねて行くという手法を取るハメになったものの、奇跡的にアンバランス同士がお互いを補い合うという、絶妙な相関関係を作り上げるのに成功しまして。
ただ、それは烈火のために特別に作り上げた環境の中だから通用する話で、アンコールでやるとなると話は変わってくる。
だから今回は、一見烈火の手法をそのまんま取り入れた風なんだけど、根本の部分では全く別のアプローチをイチから考え直して作り上げていて、なかなかの手間が掛かってる。
とまあ、掻い摘んで云うと、そんなような事をちゃーんと具体的に解説した訳です。
そーゆー非公開情報が、未だにいろいろ残ってるんですよ、烈火の音楽って。
我ながらなかなかの情報量を詰め込めたと思うし、だから近年になってもアレコレ云われるだけの耐久性も備わったのかなーと。

音楽って、冷めた言い方をすると「情報」なんですよ。
つっても、これは絵でも書でも、全ての創作物に該当する事かと思いマス。
舞踊家の師匠は振り付けに込められた意味を詳しく知っているから、モーションのそれぞれに目的が含まれている。ところが、弟子がその流麗な動きをただ真似して、寸分違わぬ動きが出来たとしても、相手への伝わり方に差が出てしまう。これが、情報量の差です。
情報がふんだんに盛り込まれた創作物を「傑作」と云い、創作物に情報をふんだんに盛り込んでしまう事を「才能」と云います。
以前、良い音楽は一聴しただけで誰の作なのかが分かるという話をしたけど、そーゆーのは個性とか技術といった情報が豊富に含まれているせいなんです。
だから「コイツの部屋、汚ねえんだろーなー」とかそーゆー事まで音楽で伝わっちゃうんで、オレは昔っから自分の曲を人に聴かせるのが恥ずかしくてねい。

最近、ベストセラー小説「蜜蜂と遠雷」を読んだ。
あまり知識の無いまま読んでみたら、モロにピアニストの話だった。
まあオレは音楽のロープーであって、作曲と演奏という違いはあれど同じ畑の話なのでほぼ共感できる内容だったけど(でも調律に関する話は全く無知だったから興味深かった)、シロートさんがあの内容で喜んでいるってのが何か、イイ時代になったなあと。オレらが生きやすい時代になりつつあるのかも。
(実は作中で「音楽の中の情報」みたいな言葉が出てきて、せっかく編み出したマイ持論なのに先を越されてしまうと焦った結果が、上記の文章だったりしてね。)
コンテストに理解不能な天才児が現れて、審査員の方が逆に試されるなんてのも共感した。この業界では結構あるあるなのかも知れないけど。

K社サウンドチームにいた、とある男を思い出した。
阿保君に続く3人目を募集した際に応募してきたんだけど、まあキッタネエ曲を送ってきて。
すべての曲が不協和音だらけのメッタクソな内容で、アレンジなんかまるで成ってないし、打ち込みもヘタ、ミックスもヘタ。
それでもオレは、片鱗を見出した。彼は極めて高いレベルで作曲を習得しており、きっとどんな曲でもたやすく書けてしまうだろうと。
そもそも、こんなメッチャクチャな内容の音楽をコントロールするって、和声感や調性感がずば抜けて優れていないと出来ない業であり、改めて履歴書をよく見たら、4歳から作曲を習い、芸大作曲科を1年で中退とあった。経歴もずいぶん面白いなあと思って、採用した。何かと実力不足だけど、それは全て後天的な部分であり、ちゃんと精進すれば上達するのは間違いないから、そうなった時の無双っぷりを見てみたかった。
入社して何日か経って、他の会社も受けたのかと訊いたら、案の定いくつも落ちたそうだ。まあそうでしょーね。あの曲から才能を見出すのは、残念ながら審査員の力量に依るところだ。

彼はオレの見立ての正しさを証明するかの如く、いきなり機能した。
エキセントリック極まりなかった芸風は封印し、ちゃんとゲームの雰囲気に相応しい音楽をベテランのように淀みなく書いた。ポップな一般ウケも上手く、ジャズやボサノヴァもこなし、ゲームボーイの3音も難なく書き(MMLはさすがにオレが打った)、そしてバロックまで上手いんだから、幼少から勉強してるとこうも違うのかーと舌を巻いた。
ところがそれは、作曲に限った話であって、いつまで経ってもそれ以外はからっきしダメだった。
ゲーム作曲家ってのは、アレンジも音色作りもミックスも一人でこなす必要があるが、作曲力の高さに慢心して他の大事な部分をおざなりにしたのか、または他の大切さに気づいてないのか。
作曲「だけ」なら天才という、ムソルグスキーのような男だった。
オレすっごく評価してたんだけどなー。当時のオレは、本当に自分の好きな音楽は自分で産むのが一番手っ取り早いから仕方なくやってる、みたいな節があって、代わりに満足させてくれる人がいれば未練なく引退するつもりでいたんだが、そんなオレに引導を渡すのは間違いなく彼であろうと思ってたぐらい評価してたんですよ。
でも残念ながら、現代の音楽事情ではそこまで含めての才能である。結局彼は才能が無かった。って事はオレの見立ても甘かったんだなーと反省しつつ。
彼は2年ぐらい在籍したのち退職した。入社した時からほとんど成長せずに辞めていった。
その後、ボーカルの女の子とテクノポップユニットを始めた。今から15年ぐらい前の話だ。
オレは彼のポテンシャルを見たくて何度かライブに行ったが、相変わらず粗末なアレンジのキッタネエ曲で、いくら音符が書けても鳴らす術を学ばないから曲が引き立たず、こりゃ難しいだろーなーと思っていたが、いつまで経っても何の噂も聞かない。
[ Weblog ] 音楽
2018-01-11 14:06:29

Total0722926 7days002404 Yesterday000202 Today000269